鮮度が命。

干物の歴史を遡ると、縄文時代には干した魚介類の跡が見られるそうです。人は文字のなかった時代から干物を「食」として愛用していたのですね。干物の特徴と言えば、保存性と風味。鮮魚より長く味わえ、乾燥することで旨味が増します。干物であれば魚の「鮮度」なんてこだわらなくても。そんな声が聞こえてきますが・・・違うんです。
あるお客様から返事が届きました。「先日、飛魚を購入したけど、長田さんのくさやの方が鮮度良かった。」と。鮮魚よりも鮮度の良い当店のくさや。ぜひ、その製造行程をご覧下さい。


「飛魚くさや」の製造方法

春飛魚の漁期は、1月末頃から5月中旬頃です。最盛期は3月、4月。春飛魚は産卵のために北上するので、産卵前の2月3月は特に身も厚く脂ののりもよいです。
春飛魚の漁法は流し刺し網。夕方出漁し、翌朝帰港します。朝6時頃から水揚げ開始。一尾一尾計りながら、傷の有無を確認し選別していきます。更に選別した中から、再度一尾一尾傷を確認しながら、加工場用の注文数を仕分けします。

水揚げ

港からわずか38秒。7時過ぎには加工場に到着です。見て下さい。水揚げされたばかりの春飛魚。お腹は真っ白で、背は青く輝いていますね。この日獲れた一番大きな特大サイズで、鮮度の良い物のみ入荷します。

鮮魚

飛魚は鱗がたくさん残っているほど鮮度が良いと言われますが、当店においてはその言葉は不要です。体全体を覆う鱗取りがすぐ始まります。尾から頭にかけて包丁を持っていきます。傷つけないように、取りこぼしがないよう丁寧に素早く行います。

鱗取り

続いて、「背開き」にしエラと内臓を取り除きます。鮮度落ちの早い魚(例えば青むろあじ)は、お腹がすぐに弱るため「腹開き」にします。獲れたての春飛魚は、お腹に血もたまらず真っ白なので背開きにしてもきれいにできあがります。製造を見学していたお客様から「加工するのがもったいない。」と言われる程、鮮度が良いです。

背開き

薬師丸ひろ子さんがナレーターを務める「食彩の王国」で紹介されました。モニターに映し出される映像に、ディレクターさんの視線が注がれます。「ここからは、私の仕事ではないので。」と言うディレクターさんの言葉に、スタッフの鋭さが増します。映像に映し出されるのはほんの一瞬。でもその一瞬の映像のためにとても長い時間が費やされます。静かな時間が過ぎ、「はい。」止まっていた息が吐き出されます。番組スタッフの撮影にかける熱い想いとこだわりに、感動しました。

撮影風景

背開きした飛魚は、血合いや脂をきれいに洗います。商品を手にしましたら、背骨をご覧下さいね。血合いがきれいにとれ真っ白なことに気づくと思います。味だけでなく、見た目にもこだわります。

洗い

大きさごとに塩分度数を整え、くさや液につけます。くさや液と飛魚の量が、くさや菌のバランスを変えます。

くさや汁

製造初日、最後の作業が白子取りです。内臓から白子を取ります。獲れたての白子は、この日に限り「生」食することができます。残った内臓は、畑の肥料とします。

白子取り

翌朝、真っ暗な内にくさや液から上げ、一尾一尾洗います。更に水につけ塩抜き作業をします。飛魚は水に入れておくと熱を持ちますので、大きさを見ながら水につける量を調整します。

塩抜き

羽を整え手早く干します。その後、冷風乾燥機で乾燥します。

干し作業

乾燥途中、網にくっつかないよう一尾一尾浮かし作業を行います。更に乾燥が進みましたら背中が乾くようひくっ繰り返し作業を行います。味が凝縮したところで干し加減を確認しできあがりです。製造三日目の朝、干し上がった飛魚を真空パックします。

飛魚くさや

できたての「飛魚くさや」

水揚げから三日目。表面に旨味を凝縮した飛魚は、身がふっくらとした「くさや」となります。飛魚くさやが大好きな方は、できたてのくさやが届くとわずか30秒だけ炙って頂く方も。鮮度の良さが伝わりますね。ちなみに焼き加減は、生焼きから中までしっかり火を通した方が旨いと言う方までそれぞれ。日本酒でもワインでも相性がよいと好評です。家族で製造した伝統の味。ぜひお楽しみ下さいね。

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